2005-10-01から1ヶ月間の記事一覧

今年の1月から約10ヶ月間、『子供らは世界みんなの宝もの』〜鶴と蝶に導かれて〜を応援して頂き、ありがとうございました。私の手元にある原稿を何とか他の方にも読んでもらえないかとの思いでブログ上でアップすることを思いついたのが、昨日のように思い出…

数日後、私は希望の光を見つけた。現代の科学技術は、スペースシャトルで数百万マイル離れた月面に人間が降り立ち、安全に地球に帰ってくることができるし、潜水艦で深海の底に広がる未知の領域に入ることができる。どちらも完全に真っ暗な世界だ。これらの…

収入のある仕事を失った時は、絶望的な気持ちになった。慈悲深い労働者や納税者の親切な行為によって、政府からわずかな障害者年金を受け取ることはできたが、それだけで人間の尊厳を認められることはなかった。ただ生きるためだけに、“援助”をもらって暮ら…

「今日、医者にいずれ目が見えなくなるだろうと言われた」 私は日記にそう書いた。そして、色あせた小さな父の写真を取り出した。私には、父の写真を見ることがどうしても必要だった。“丸に立ち葵”の家紋の入った着物を着ている父を見ると、私の心はたとえ嵐…

愉快なお祭りムードが私達の間に広がれば広がるほど、サムとジェフはおもしろくないという態度を見せた。サムはイライラして、彼の顔には不満が出ていた。 「タネモリ、早くしろ。さっさと仕事の話をするのだ。」 星崎社長が部長に合図をし、部長は細かく印…

カリフォルニアの夏のシーズン真っ只中、日本から彼らがやって来た。麦わら帽子を被っている星崎氏は明らかに社長とわかるほど威厳があり、3人の紳士が、彼から少し離れて歩いていた。 「社長、お待ちしておりました。私どもがカリフォルニアをご案内させて…

次の4〜6週間は電話がジャンジャン鳴り、FAXはいつもガタガタと音を立てていた。サムとジェフは色々な交渉で、私達のオフィスは蜂の巣を突いたように活気に溢れていた。しかしその裏では、日本からの相談が私にやってくると、彼らは私に圧力をかけ、 「すべ…

夏が過ぎ、木の葉のダンスが見られる秋になった。シエラ山脈が色とりどりに染まると、冬が近づいていることを教えてくれる。そんなある日の午後、ユーレカ・ノースウエスト材木会社のサム・ゴールドスティン氏から手紙が来た。内容は、日本に新しい木材製品…

“鶴と蝶の夢”が私の元に帰ってくる前の年の秋、親友のメルブ・アメリーンが七面鳥を丸ごと一羽持ってきて、テーブルの上にドンと置いた。そのとたんに七面鳥がバタバタ動き、私は思わずびっくりした。白人の彼はカリフォルニア七面鳥産業会の支配人で、店の…

次回予告

出生の秘密、いかがでしたでしょうか? 母方の複雑な家庭事情や当時、いかに後継ぎとして長男が大切にされていたか、よく表れていたのではないかと思います。それがいいのか悪いのかは別にして、そのことによるご両親の苦悩は、今の私には想像を絶するものが…