あっという間に春がやってきた。スワンソン博士の大きな夢は、1度に800人の聴衆を集めることだった。ある日曜の礼拝に大きな期待がかかっていた。750、785、799、800、そして801、802、803とまだカウントは続いた。歓声が沸き起こり、教会の屋根に響き渡った。言うまでもなく、教会の成功によって私も最高の経験をすることができた。月曜日の朝、教会の事務所に入ると、皆はまだ興奮に酔いしれていた。私は不可能を可能にすることに、大きな喜びを見出していた。


「トム先生。」秘書のドロシーが誰かに見られては困る様子で、静かに私の部屋に入ってきた。
「博士が今朝10時に緊急にあなたにお会いしたいとおっしゃっています。」
「緊急にだって?」
一体なぜ博士が月曜日に、しかも月曜日の朝に姿を見せるのか。彼は今まで非番の日に教会に現れることなど一度もなかった。信徒の家族が亡くなり、カウンセリングや慰めが必要な時でさえ、火曜日まで待たせたり他の牧師を派遣したりしていた彼が、一体なぜだろう。私は頭を振りながら自問自答した。彼が“緊急な用件”を片付けるために、わざわざ非番の日に教会にやってくる。怒っているのだろうか? 博士は厳しい顔つきで私を待っていた。そして部屋の内側にある会議室へと私を招いた。彼の部屋の裏側にこんな隠し部屋があるとは、今まで知らなかった。


彼は私と直接目を合わせないようにしていた。部屋には沈黙が流れ、彼の深くて重たいため息以外しか聞こえなかった。インターホンで秘書に邪魔をしないようにと指示を出した後、彼はためらいがちに切り出した。
「トム、長い間考えてきたのだがね・・・」
彼はすべてを言わなかった。そして、ネクタイを緩めた。
「君を解雇しなければならない。」
「博士、何ですって?」
広島に投下された原爆よりも大きくて強力な爆弾が、突然私の上で爆発したような気分だった。私の息は止まった。
「本当にすまないと思っている。しかし、これは一夜で決断したわけではないのだ。何ヶ月もかけて君を解雇するという決断に至ったのだ。すべては教会のため、信徒に捧げる私の奉仕や思いやりの気持ちで出した結論なのだ。」
「なるほど、あなたは何ヶ月もかけて気持ちを固めていったのですね。それは確かなのですね? 私があなたの夢だったゴールを達成して、あなたが私に心からの感謝を聴衆全員の前で述べたのは昨日の朝でしたよね。あれから24時間もたっていませんが・・・。」
私は席を立ち上がり、博士に詰め寄った。
「先生、あなたがおっしゃったことをもう一度言って頂けませんか。」
「私が言ったことは忘れてくれ・・・。」
「ご自身がおっしゃった言葉、それはこうでした。皆さん、私がこの教会の牧師に就任して以来、1度に800人の人に来て頂くのが私の目標でした。この目標を達成するために、どんなにタネモリ牧師が頑張ってこられたか私はよく知っています。彼に敬意を表したいと思います。皆さん、盛大な拍手を・・・」


私は途方にくれた。あの言葉はすべて嘘だったのか。博士は椅子の中でもぞもぞと位置を変え、私を解雇する理由を語り始めた。
「私は自分の仕事を確立したかった。しかし、君はいつも私のやり方を否定して、私の邪魔をした。」
「ほう、私が何をしたというのですか?」
「教会の建物を新しくするために、私が信徒に犠牲や経済援助を強要しなければならない時、君はいつも福音の伝道や魂の確立を強調して、私の訴えを否定したではないか。」
「それだけですか?」
「君と私とでは、この仕事に対して違う見解を持っているようだ。私は新しい聖堂や、町で一番大きな教会の建物が欲しかった。それが、私の業績を表す記念碑となるからだ。それに対して君がやったことは、寄付しようとする信徒たちの心を萎えさせ、妨害することだった。」


私は彼をにらみつけた。彼の自己満足を満たすことは断じてできなかった。
「博士、よく分かりました。あなたは“物質面”を強調され、私は“精神面”を強調したということですね。」
突然、彼は訳のわからない笑みを浮かべてこう言った。
「あの角に建っている巨大な建物が見えるかね。私には10周年記念に説教壇に立ち、ターロック市で最も多くの聴衆を前に説教している自分の姿が見えるようだよ。この地域の住民すべてがそれを目撃するのだ。」
私は哀れみの目で彼を見つめた。何と器の小さい人間なのだ!