次の火曜日の夜、ゆっくり1人で休んでいるところに、教会の評議委員会の人が2人でやって来て、月曜日の夜に緊急会議を開くことを伝えて封筒を手渡した。
「おお、これはどういうことだ? こんなこと、信じられない!」
私は封筒に顔を埋め、何度も何度も叫んだ。妻になんと説明すればいいのだろう。それより、なぜ解雇されるのか理由を受けとめることが出来なかった。胃潰瘍の弊害で血を吐いて入院していたので、直接、ケン・ノートンと話し合いをしたわけでもなかった。私はイライラしながら聴いていたが、突然、腸が煮えくり返って抑えていた感情が爆発した。


2日後、私は自分のオフィスのドアの前に立ち茫然とした。誇り高く掲げられていた飾り額の表札はすでに取り去られ、解雇されたことを思い知らされた。そして、私の目の前に映っているのは、過去を思い出させる2つの小さなネジ穴だけだった。


その足で教会秘書のジャネットに会いに行った時、彼女は私が現われたことに驚いたのか、冷たい墓石のように固まった。思いがけない解雇のことを、妻にはまだ伝えていなかった。彼女は私に何か魂胆があって来たのだと思っているようだったが、私の身体の調子についてだけ尋ねてきた。


その週を通して何度も何度も解雇の理由を聞こうとしたが、遂に彼のオフィスにも立ち入りを禁止された。日曜の朝の奉仕前に教会内へ入っていき、彼に心からの返事を求めた。
「出て行け! 高潔さや尊敬の念が要求される神聖な神との対話が、君に理解出来るはずがない。ましてや君がそこに立っている同じ所で一生空気を吸いながら祈ることはあまりにも不潔だ。君のせいで私の教会のメンバーがまっぷたつに分かれ、キリスト信者としてふさわしくない行動や争いが起きているのが分かっているのか。神の恵みはもはや遠ざかっていっている。君がいる限り、神は神の背中を私たちに向けられるだろう。君ができる唯一のことは、ここから姿を消すことだ。さあ、早く出て行け!」
ノートン牧師、あなたの神はどんな神かは知りませんが、私の神はそんな小さなあなたが怯えているような神ではありませんよ。笑わせないで下さい。」
「君の存在はますます私の教会を深く2つに割っていくだけだ。君は鬼か悪魔のような人物だ。そんな人物を教会に置いておくことができるものか。」
興奮した彼の目は怒りと恐れで燃えているように見えた。
「あー、そうですか、分かりましたよ。神は必ずあなたに対して正しい判断を下さいますよ。間違いなく私が立っているこの場所を、荒れ果てた荒野にするでしょう。神の栄光は永遠に去り、あなたの教会は不毛地帯へと変わっていくでしょう。」


3年後、車でインディアナポリス市までに来た時、彼の教会に立ち寄ってみることにした。駐車場の舗装面の数多くの割れ目に雑草が生い茂っているのを見て、私はすべてを理解した。教会の建物の外観は、かなり前に脱皮した蛇の抜け殻のようにカラカラに乾燥していてグロテスクに見えた。今までの多くの子供たちのぬくもりも、彼らの笑い声もすっかり消え去っていた。