実験による肉体的な苦痛以上に、胤森家の長男として経験したこの恥は、私の胸を切り裂くようだった。天から父が私を見ているのではないかと思うと、私の魂はもはや耐えることができなかった。私は太陽に向かって叫んだ。
「僕はお前なんか嫌いだ。お願いだから去ってくれ。僕が恥ずかしさで顔を覆う必要がないように。太陽は何でもすべて明らかにしてしまう。さあ、夜を戻してくれ。さもなければ地獄に落としてくれ。」
父から隠れるように、私は鉄のベッドから毛布を剥ぎ取り、日中はその下にうずくまっていた。魂から湧き出る金切り声が父の耳に届かないように、時々毛布の端を口の中に詰め込んだ。私は毛布にくるまって部屋の隅に何時間も座りながら、医師たちを注意深く見ていた。


暗闇は親しみやすく安心できるものになった。暗ければ父も私を見ることができないだろう。私は夜の暗闇の時だけ毛布の下から出ることが出来た。本当につかの間の安心感だった。しかし父が私に背を向けると考えると、私はパニックに陥った。父に救いを求めるほかに私の選ぶ道はなかった。
「お父さん、胤森家の名に恥をかかせるようなことをしてしまい、本当に申し訳なく思っています。でも、お父さん、どうか分かってください。僕はそんなつもりはなかったのです。どうして病気になったかを説明するために、僕が精一杯のことをしたのは知っていますよね。こんなことになったのはあのホステス・スノーボールのせいです。僕はそれがどんな味がするのか知らなかったし、腐っているとは知りませんでした。なぜあの店員はそうだと知りながら私に与えたのですか。お父さん、本当にごめんなさい。僕は侍の息子として行動するべきでした。お父さん、どうか背を向けないで僕の心を受け止めて下さい。僕は強くなろうとしているし、これからはいつも自分の心に従おうとしています。どうかお願いです。僕はまだ胤森の長男としてふさわしくないですか。」


医師たちは医学と科学的な研究という大義名分の下で、私の行動をすべて注意深く分析した。それらは次の段階のために、先例のない試みへと進むこととなった。ある朝、また別の病院に移る準備が完了した。10時ごろ、6人の医師と看護婦が私を囲み、2人の警官と話していた。私はパトカーに乗せられた。私の側の座席に手錠をかけられた中年の白人の患者が座っていた。医師は私たちから距離を置いてドアのそばの座席に座り、遠くから私達を観察していた。私はどこに連れて行かれるのだろうか。


しばらくするとパトカーは、身分証明調査のためのゲートに入った。そこには高いフェンスがあった。部外者を中に入れないためなのか、内部の人々を閉じ込めておくためなのか、私には分からなかった。そしてゲートに立てられている案内を見て驚いた。
「・・・精神病院!」
パトカーがその重く奇妙な建物の正面でエンジンを止めた時、私の人生は運命の手に落ちたように見えた。